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<これって水虫?>

気候も急に暖かくなり、今年は早々に桜が満開になりました。みなさまの皮膚の状態はいかがでしょうか?
今回は、発汗が増加する時期に多い異汗性湿疹、別名汗疱についてのお話です。
この皮膚炎は、主に季節が暖かくなる時期に手のひら、手指、足の裏、足の指に痒みを伴う小さな水ぶくれや、皮膚がめくれてくる皮膚炎です。2〜3週間で自然に軽快をすることもありますが、増悪軽快を繰り返し慢性化する人がよく見られます。患者さんはよく“水虫が出来た”と来院されることが多いです。
原因は、別名汗疱と呼ばれるぐらいですから、汗に関わるものと考えていましたが、病理組織学的には、水ぶくれと汗を出す管(汗腺)との間には連続性は無く、いわゆる湿疹性変化であることから、汗腺の関与は否定されております。しかしながら、その一方で、発汗が増加する初夏から症状が出現することや、いわゆる多汗症を併発することが多いことから、発汗は本症の悪化要因の一つである可能性は高いと思われます。稀に、細菌感染等により強い疼痛を伴う例もあります。
診断は主に肉眼で行ないます。一般的に血液検査・尿検査に異常はありません。
鑑別に必要な皮膚病は、水虫(白癬)や掌蹠膿疱症があります。白癬は、顕微鏡で白癬菌の有無を確認します。掌蹠膿疱症は、無菌性膿疱など症状の出現に季節性が無いことです。また、外的因子により皮疹が生じていれば、それはアレルギーによる接触皮膚炎の可能性があります。
治療の基本は外用療法であります。皮膚の乾燥状態が強い場合は、へパリン類似物質、尿素軟膏を外用し、水泡の出現が強いときや湿疹性病変を伴っているときは、ステロイドの外用を主体とします。足の裏では軽皮吸収が悪いので、強めのステロイド外用薬を用います。びらんなど浸出液の多い部分には、亜鉛華軟膏をステロイド外用薬の上に塗布します。多汗症がベースにある人は、10%塩化アルミニュウム液の外用が有効です。強い痒みのある人は抗ヒスタミン薬の内服を併用いたします。重症例ではステロイドの内服をして頂くことも在ります。
生活指導としては、発汗が強い人は手足が蒸れないように、タオルの携帯や靴下の適宜交換を指導しております。
※本年4月に、診察報酬が改定されましたので、患者様におかれましては、従来の窓口での支払額にくらべ、差額が生じることがございますのでご了承ください。


<一人背塗りにこの一本>

今シーズンの冬は、強い寒気による寒冷刺激の為か?例年より乾皮症や皮脂欠乏性湿疹が多く見受けられます。
乾皮症とは、加齢などにより各層の水分保持に重要な天然保湿因子や皮脂などが減少し、皮膚が乾燥した状態であります。高齢者でなくても、清潔嗜好で入浴時に過剰に洗う(擦る)人、居住環境が乾燥しやすいことなどで乾皮症は起こります。このような状態が放置されると、外的な刺激を受けて炎症を起こしやすくなります。炎症を伴う状態を皮脂欠乏性湿疹と言います。また、アトピー性皮膚炎患者さんの皮膚も同様な状態にあると考えます。
治療の第一は、乾燥を防ぐことが重要であります。保湿剤で皮膚の乾燥を防ぎ、炎症を伴う部分には副腎皮脂ステロイド外用薬を併用します。また、痒みが強く著しく眠れない場合は、抗ヒスタミン剤(痒み止め)の内服をします。以上のようなことをふまえて、外用療法の指導をしていくのですが、時々言われるのが、一人暮らしなどの理由で、背中の外用がうまくできないという声です、特にご年配の方からの声が、多いと思います。この悩みを解消するのが、『一人背塗り』にとことんこだわった、“塗るまごの手”セヌール®Rです。
手の届きにくい部位にも、楽にクリームやローションを塗り伸ばすことができる大変便利なアイテムです。そのセヌール®Rを、当クリニックでも販売を開始しました。家族の人に頼みにくい、一人暮らしなので背中に上手に塗れないなど、悩みのある方は、是非ご相談下さい。
セヌール


<帯状疱疹に新薬登場>

この度、帯状疱疹(たいじょうほうしん)に対して『アメナリーフ錠』という内服薬の処方が可能になりました。この薬は、日本で創製されたお薬です。

従来の帯状疱疹のお薬は、1日5回ないしは、3回内服しておりましたが、このお薬は1日1回投与で十分に効果のあるお薬です。では帯状疱疹とは何か?ご存知の方もおられると思いますが、この機会にお話したいと思います。

帯状疱疹の特徴は:身体の左右どちらか一方に、ピリピリとさすような痛み、これに続いて赤い斑点及び小さな水ぶくれが帯状(おびじょう)に現れる病気です。帯状疱疹は、過去に感染した“みずぼうそう(水痘)”のウイルスである水痘・帯状疱疹ウイルス が、身体の中に潜んでおり、体が疲れたりして免疫力が落ちた時に、そのウイルスが再活性しておこります。ですから、誰でも帯状疱疹になる可能性があります。

発症年齢:60歳を中心に比較的に高年者に見られる病気ですが、若い人でも過労やストレスが原因で発症することも珍しくありません。通常は生涯に1度しか発症せず、免疫力の低下している患者さんを除くと再発する可能性は低いと言われています。

主な発症部位:身体の左右どちらか一方の神経に沿って帯状に現れます。胸から背中にかけて出現することが多く、全体の約6割が上半身に発症しております。また、顔面(特に眼囲)も発症しやすい部位です。

経過:赤い斑点の現れる数日前から、皮膚の違和感やピリピリ感などの神経痛(神経においてもウイルスが増殖して炎症が起こっているため)を伴うことがあります。その後、強い痛みと伴に身体の片側に沿って、帯状のやや隆起した赤い斑点が現れます。つづいて赤い斑点上に水ぶくれ(水ぶくれの大きさは栗粒大〜小豆大で、中央部にくぼみが見られます)が現れ、その水ぶくれは、やがて破れてただれた状態になり、かさぶたへと変化します。皮疹が治ったあとも、後遺症として帯状疱疹後神経痛という、やっかいな痛みが残ることもあります。

後遺症:発熱や頭痛が見られるこちがあります。また、顔面の帯状疱疹では、角膜炎や結膜炎などを起こすこともあります。その他、まれに耳鳴りや難聴、顔面神経マヒなどがあります。

治療は、最初にお話した抗ヘルペス薬(アメナリーフ等)を中心におこなわれます。このお薬はウイルスの増殖を抑えることにより、急性期の皮膚症状や痛みなどをやわらげ、治療までの期間を短縮します。さらに合併症や後遺症を抑えることも期待されます。また、痛みに対して、消炎鎮痛剤が使われたり、強い痛みがつづく場合は神経ブロックという治療が行われることがあります。

日常生活の注意点として以下の項目があります。

●出来るだけ安静を心がけましょう。

●患部を冷やさないようにしましょう。

●水ぶくれは破らないように気をつけましょう。

●小さな子供との接触は控えましょう。

※帯状疱疹は早期に適切な治療を行うことで、症状を軽くし、合併症や後遺症である帯状疱疹後神経痛のリスクを減らすことができます。
帯状疱疹かなと思ったら、はやめの皮膚科受診をしてください。


<本邦初!乾癬患者専用シャンプー薬登場>

この度、わが国において初めてとなる、ステロイド剤であるクロベタゾールプロピオン酸エステルを有効成分とする『頭部の尋常性乾癬』の治療用シャンプー外用薬(コムクロシャンプー)が処方可能となりました。

特徴:乾いた頭皮に使用するシャンプー用外用剤

使用方法:

STEP1

  1. 広げた手のひらに、お薬(シャンプー)を出します。
    (使用量の目安は500円玉3枚分です)
  2. 手のひらからお薬をとり、皮診のある所に塗ってください。
  3. 頭 皮の皮疹部全てに塗れるまで1.〜2.を繰り返してください
    (万が一、目に入ったり、まぶたについた場合はすぐに水で洗い流してください)
  4. すべての患部に塗り終わったら、爪を立てずに患部を軽くマッサージして下さい)
    最後に手をよく洗いSTEP1は終了です。

STEP2
お薬(シャンプー)を塗ってから、15分間そのまま待ちます。

STEP3
お湯または水をかけて、爪をたてずにやさしくよく泡立てます。
(ゴシゴシ洗いはNG!乾癬では、こすったり掻くという行為は、症状を悪化させますので、爪を立てないように注意しましょう)

STEP4
流し残しのないよう頭皮、手、全身を十分に洗い流します。
(洗い流す際、お薬が目に入らないように注意してください)
(コムクロシャンプーを洗い流すために、ほかのシャンプーを使用する必要はありません。髪の毛のお手入れのために追加でほかのシャンプーやリンス等を使用しても構いません)

以上使用方法の流れです。頭皮の乾癬がひどい患者さんは、ステロイド剤の長期外用による副作用の心配等があつたと思いますが、このシャンプーという発想によりいくらか副作用が軽減されると確信しております。


<"マダニ" "蚊"にご注意>

春から秋にかけてキャンプ、畑仕事など山や草むらでの活動が多くなる季節です。そういった野外活動の際は、“マダニ”に注意しましょう。

野山等に生息する“マダニ”に咬まれることで、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)、ダニ媒介脳炎、日本紅班熱、ツツガムシ病、ライム病などに感染することがあります。“マダニ”に咬まれない為にも以下の点に注意しましょう。

●肌の露出を少なくする(帽子、手袋を着用し、首にはタオルを巻く)

●長袖・長ズボン・登山用スパッツ等を着用する(シャツの裾はズボンの中に、ズボンの裾は靴下や長靴の中)

●足を完全に覆う靴を履く(サンダル等は避ける)

●明るい色の服を着用し(マダニを目視で確認しやすくするため)作業に着用した服等は、直接家の中に持ちこまないようにし、野外活動後は入浴を心がけ、“マダニ”に咬まれていないか確認しましょう。(特に、わきの下、足の付け根、手首、膝の裏、胸の下、頭部は要注意です) もし“マダニ”に咬まれた時の対処法(“マダニ”は吸血前、約0.5cm程度ですが吸血後は1.5cm程度に増大)は以下の通りです。

●無理に引き抜こうとせず、医療機関(皮膚科等)で処置をしてもらいましょう。

●“マダニ”に咬まれた後は、数週間程度は体調の変化に注意が必要です。発熱等の症状がある場合は医療機関で診察が必要です。 (その時医師に伝えることとして、野外活動の日付、場所、発症前の行動)

“マダニ”以外で季節的に用心が必要なのが“蚊”です。特にヒトスジシマカです。(ヒトスジシマカ:背中に1本の白い線とW字状の模様がある、4.5ミリ程の大きさで、5月中旬から10月下旬ころに活動します。雑木林や竹木林などで繁殖し、最近は藪・墓地・公園などにも出現。特に日中に吸血活動をします。活動範囲は50〜100メートル程度です。

この“蚊”はデング熱の原因ウイルスとなるデングウイルスを持っている可能性があります。デング熱は人から人へは感染しませんが、デング熱に感染した人の血を吸った“蚊”(日本ではヒトスジシマカ)の体内でウイルスが増殖し、その“蚊”がまた他の人を吸血することで感染が拡大していきます。感染してもすべての人に症状がでるわけではありませんが、高熱や関節痛、目の奥が痛くなるといった症状が1週間から2週間ほど続きます。

冬は“蚊”が減るのでデング熱の発生も収まりますが、翌年また流行する可能性があるので、いつでも“蚊”に刺されないよう注意する、そんな習慣を身につけることが大切です。


<『光老化』認知度向上を>

最近われわれ皮膚科医の間で『光老化』という言葉が使われています。今回はこの『光老化』という言葉について考えます。
この言葉を簡単に言うと、日光があたる肌や目にみられる老化現象のことです。
よく言う普通の生理的な加齢による老化現象とは異なります。“しみ”、“しわ”、“たるみ”が代表です。また、目においては、白内障が知られております。
太陽光がどのようにして皮膚に影響するかと言いますと、太陽光には紫外線、可視光線、紫外線などがあり、その中でも作用が強いのは紫外線です。とりわけ、B紫外線がもっとも問題ですが、A紫外線も皮膚に深く影響を与えますし、最近では紫外線もさらに皮膚深く到達し(図)、A紫外線とともに“しわ”や“たるみ”を形成すると思われます、日光をあび続けることが皮膚にどう影響しているかと言いますと、高齢者の皮膚で顔とお腹の皮膚を比べて下さい。日光のあたる顔では、大きな“しみ”や深い“しわ”が見られますが、日光が到達しにくいお腹等では、“しみ”や“しわ”は比較的少ないです。これは、日光暴露の時間の違いからくるものと思われます。
なぜこの違いがうまれるのか?皮膚が日光にさらされると、メラミンという色素が作る細胞が表皮の浅い部分で増殖し、その細胞が蓄積される事により“しみ”ができます。これは、光からの生体防御反応でありますが、美容上は歓迎されません。“しわ”に関しては、皮膚のもっと深いところでの話です。小じわは、皮膚表面の乾燥ですが、『光老化』によるものは真皮での反応です。A紫外線や赤外線の作用により、皮膚の張りを保つ弾性線維が変化し、その異常な弾性線維の増加により、皮膚のクッション構造が保てなくなり、元に戻れないくぼみができます。これが大きな“しわ”になります。
我々の皮膚では紫外線にあたる事により、細胞内の遺伝子に傷が入るということが毎日起きています。通常は修復されますが、紫外線の量が多いと破傷した遺伝子が大量にでき、修復が正しくおこなわれない異常な細胞が増加し、最終的に皮膚がんが形成される事になりかねません。しかし、日光には悪い点ばかりではなく、良い面もあります。その良い面を皮膚病の治療に応用しているものもあります。B紫外線のある波長(311nmよ308nm)を皮膚にあてると、免疫反応を抑えることが可能です。つまり、光の害を最小限に抑えて、良い部分だけを利用するのです。免疫が過剰に働いておこる、アトピー性皮膚炎や乾癬、皮膚が白く色が抜ける尋常性白斑などの治療に効果があると言われています。とは言え、健常者にとっては日光の浴びすぎは、害になるのでその対策は必要です。紫外線の強い国では、国家レベルの対策を呼びかけています。基本は、学童期からの日焼け止めの使用と帽子の着用、サングラスなどの眼鏡、車やビルの窓ガラスにも対策をしているようです。しかし、日本においては『光老化』という概念はまだまだ認知されてないようです。特に、日差しの強い5月から真夏にかけては要注意です。紫外線の関係


<冬だから"しもやけ">

冬将軍到来で、ぼちぼちと寒い日が多くなって参りました。この季節になると心配なのがインフルエンザですが、皮膚科にインフルエンザで受診する方はおられませんが、近年冬に皮膚科外来で遭遇することが増加している疾患が、"しもやけ"正式名を凍瘡であります。 "しもやけ"は局所的な寒冷暴露により引き起こされる炎症反応です。特に、指趾や露出部である、頬、耳、鼻に痒みや痛みを伴う紅斑と腫賬を生じます。
重症の場合は、皮膚がめくれ濆痬を形成することもあります。小児、女性、高齢者や、寒冷環境で手袋や長靴で長時間仕事をする人に多いと言われています。
おそらく、遺伝的に"しもやけ"になりやすい人がいるかと思われます。
成人の場合、膠原病の一症状として"しもやけ"がみられたり、似た症状として、各種の血管炎、血栓症が存在しますので鑑別を必要とします。
治療法と予防ですが生活環境から悪化因子を想定し、生活指導を行ないます。
局所の治療では、皮疹に応じて外用薬と内服薬を処方します。とにかく、放置をしないことです。初期は、治療によく反応します。
外用薬としては、ビタミンE含有軟膏やヘパリン類似物質含有軟膏をメインで使用しますが、重症例ではステロイド外用剤も処方します。濆痬及び二次感染が認められる場合は、抗菌薬含有軟膏を処方します。
最低気温が5℃前後になったら、外出時は手袋、マフラーを装着して、体の抹消部分を冷やさないようにしましよう。
スポーツ等で汗をかいた場合は、水分が蒸発する時に体温まで奪われてしまうので、結果的に手足が冷え"しもやけ"になりやすくなります。汗をかいたら出来るだけ早く水分を拭き取り、着替えをする事が大切です。
水仕事をする特は、ゴム手袋を着用し"しもやけ"を予防しましょう。
マッサージも効果があるかと思います。足趾(指)の手前の方になでるように行ないます。徐々に範囲を広げていきます。入浴時にやるのが良いでしょう。
血行を改善するには、ビタミンE、ビタミンCが多く含む食物をとるようにしましょう。(例えば、ビタミンEならアーモンドやナッツ等、ビタミンCならピーマン、キウイ、柿、レモン等)。
冬が寒いのは当たり前なので、冷え性の人は暖かく過ごしましょう。


<これってアレルギーですか?>

最近、食後に唇や口内の痒みで、受診される方が増えているように感じます。
その人たちの多くが、「これってアレルギーですか?」と訊ねられます。
そもそもアレルギーとはなんでしょう?今回は、それについてのお話です。
人間の体には、外からの異物に対する“免疫”という機能があります。“免疫”は、細菌やウイルスから体を守る重要なものです。
しかしながら、この“免疫”が過剰な働きをし、本来、害のない花粉・ほこり・食物等に反応してしまう、これがアレルギー反応です。このアレルギーは遺伝する傾向があり、親御さんにアレルギーがあるとお子さんにも起こる可能性があります。
そのアレルギーで起こる病気の代表が以下のものです。

  1. ぜんそく:気道が狭くなり呼吸障害が起こり、咳が長くつづきます。
  2. アトピー性皮膚炎:皮膚に湿疹がみられ、季節により増悪軽快を繰り返します。掻くことで症状は悪化します。
  3. アレルギー性鼻炎・結膜炎:くしゃみ・鼻水・鼻づまりや目のかゆみ・充血などの症状をおこします。以前は、スギ花粉症が有名でしたが、近年ではキク科やハウスダストによるものなど原因は様々です。
  4. 食物アレルギー:食べ物が原因となっておこるアレルギーを指します。主な症状として、発疹等の皮膚症状・お腹が痛くなる消化器症状・呼吸が苦しくなる呼吸器症状があります。
  5. 5. PFS(花粉関連食物アレルギー症候群):果物や野菜を食べることで口・唇・喉などにピリピリ・イガイガ感がおきます。多くの患者さんは、花粉症があります。(上記の患者さん達はPFSの可能性があります。)その代表的なものを以下に示します。
花粉 飛散時期 花粉と関連性のある食べ物
スギ・ヒノキ 2〜5月 トマト
ハンノキ・シラカバ 1〜6月 リンゴ・桃・大豆(豆乳)
オオアワガエリ・カモガヤ 4〜10月 メロン・スイカ・キュウイetc
ヨモギ 7〜11月 セロリ・ニンジンetc
ブタクサ 7〜11月 メロン・スイカetc

アレルギーを引き起こす物質は、私たちの身近なところに存在し、人によってその物質は様々なのです。また、複数のアレルギーに反応する方もいるのです。
この原因物質を知るということは、治療のひとつであることは間違いありません。
上記のアレルギー疾患においても、薬物療法(内服・外用薬等)と原因アレルゲンの除去や回避が原則であります。このアレルゲンとの接触が続く限り、治療の効果はなかなか現れず、症状は慢性化し治療は困難になっていくでしょう。
アレルギーの原因と思われる物質があるなら、まず医師に相談しましょう。


<AGA治療薬に新しい内服薬登場>

近年ではすつかりメジャーな言葉となりつつあるAGA(AndrogenicAlopecia男性ホルモンによる脱毛)、市販の育毛剤で治療するだけでなく、病院等で内服液を購入するということが定着してまいりました。今までは、フエナステリド(商品名プロペシア)しか選択肢がありませんでしたが、この度、デュタステリド(商品名ザガーロ)という今まで以上に、効果が期待できる薬が販売されました。これらの薬は、AGAの原因のひとつと考えられている『ジヒドロテストステロン(DHT)』という男性ホルモンの産生を阻害し、ヘアサイクルを正常に近づけることで発毛を促進します。その結果、太く長い毛が増えるのです。

●AGAのヘアサイクル

DHTは、髪の毛の成長期を徐々に短くします。そのためGAGでは髪に毛が十分に成長しないまま退行期を迎え、髪の毛が次第に細く短く薄くなります。

今のところ大きな副作用は経験して降りませんが、副作用に際して注意することは以下の通りです。

  1. 医薬品などで医師の処方箋がないと薬局で購入できません。その際、健康保険は使えませんので自費診療となります。
  2. お薬の値段は、フェナステリドが1日約256円(後発医薬品有り)、デュタステリドが1日310円ですが、その他医師の診察料と処方箋代、薬局での調剤料が別途かかります。(月に1万円〜1万3千円程度が目安です)
  3. 飲んだらすぐに効果が出る薬ではありません。個人差はありますが半年程度で少し抜け毛が減ったかなあという程度で、発毛が実感できるには数年かかると思われます。最初は、これ以上男性型脱毛を進行させないために飲むくらいの気持ちが必要です。
  4. 発毛したからといって、内服をやめるとまたもとの状態に戻るのでエンドレスの内服が必要です。
  5. 女性や子供は服用しないでください。特に妊娠している女性は、薬剤に触れるのも控えてください。男子胎児の生殖器等の発達に影響をおよぼすおそれがあります。
  6. 前立線癌のPSA検査を受ける方は、数値が低くなる可能性がありますので、必ず担当医師にお知らせください。

◆気になる方は、一度皮膚科医に相談を。


<夏になると気になる・・・・汗?>

体質で汗が多いという方はおられますが、汗で人目が気になるなど、日常生活で困ることがある場合は「多汗症」という病気の可能性があります。多汗症に悩む人は、思春期から中年世代までの社会的活動が盛んな年代に多いと言われています。男女の比率の差はほとんどありません。
なかでもワキの多汗症を「腋窩多汗症(えきかたかんしょう)」と言います。ワキの下は汗腺が多いうえに、精神的な刺激と、気候や運動による温熱刺激の両方で発汗が促進されるため、汗を多くかきやすい部位なのです。
特別な要因がないのにワキに多量の汗をかく病気を原発性腋窩多汗症といいます。このような症状のある人は、日本人で5.8%と推定されています。原発性腋窩多汗症の診断基準は下記に示す通りです。(ほかの病気や薬による続発生ものは除外します)

●原因不明の過剰なワキ汗が半年以上前からつづいている

●さらに、以下の6項目のうち、2項目以上に当てはまる

  • □ 両ワキで同じくらい多くの汗をかく。
  • □ ワキの汗が多いため、日常生活に支障が生じる
  • □ 週に一回以上、ワキに多くの汗をかくことがある
  • □ このような症状は25歳より前にはじまった
  • □ 同じ様な症状の家族・親戚がいる
  • □ 眠っているときはワキの汗がひどくない

重度の腋窩多汗症は、日常生活に支障をきたす場合がありますので、心当たりのある人は、皮膚科を受診して下さい。症状によっては健康保険で治療を受けられることがあります。
原発性腋窩多汗症の治療法には、以下のものがありどの治療法にするかは、患者さんの病状に応じて決定いたします。

1:塗り薬

塩化アルミニウムなどを有効成分とする薬を、毎日塗りつづけることで、徐々に効果が現れます。持続期間が短く、反復して使用します。

2:注射(ポツリヌス療法)

交感神経から伝達される汗を出す信号を、注射薬でブロックして、過剰な発汗を抑える治療法です。ボツリヌス菌がつくる天然のタンパク質を有効成分とする薬を、ワキに注射します。1回の注射で効果は4〜9ヶ月持続するので、年に1〜2回程度の治療で汗を抑えると言われています。症状によっては、健康保険が適用されます。

3:飲み薬

抗コリン薬や漢方薬があります。塗り薬や注射薬とは異なり、体の広い範囲に効果を及ぼすことが特徴です。専門家によるガイドラインでは、塗り薬・イオントフォレーシス(発汗部位を水道水に浸し弱い電流を流して、発汗を抑える治療)・注射薬で効果がない場合や、これらの治療がおこなえない時などに試みてよい治療と位置づけられています。

4:手術

神経を切断する手術などがあり、種類によっては健康保険が適用されます。多汗症の症状が重く、塗り薬・イオントフォレーシス・注射・飲み薬で効果が見られない時に適応となる場合があります。

5:その他

神経ブロック、レーザー療法、心理療法などがあります。
以上で何かしら気になることがある人は、一度皮膚科医にご相談下さい。


<皮膚炎を起こす虫や植物>

気候も暖かくなり、また今年も桜の季節になりました。みなさまの皮膚の状態はいかがでしょうか?今回は、暖かくなると増える、虫や植物による皮膚炎トラブルのお話です。
皮膚炎を引き起こす虫はさまざまな場所に生息しています。室内には蚊、イエダニ、ムカデ、トコジラミ、家の周辺や公園には、毛虫、ネコノミ、蜂、クモ、高原や河原には、ブヨやアブ、山などにはマダニ、ツツガムシ、などがいます。この中で最近、皮膚への被害が増えているのがトコジラミです。トコジラミが増加している原因として、交通機関の発達によって、人の行動範囲がグローバル化した事で、国内で衛生状態のよいホテルや旅館でも、旅行者のスーツケースなどを介して持ち込まれるようになったと考えられています。その宿泊先で刺されたり、鞄に紛れて自宅に持ち込んでしまうと言う事もあるでしょう。このような事が起こらないように、鞄の周囲に“虫よけスプレー”を散布したり、夜間は鞄のふたを必ず閉めるようにしましょう。もし、持ち帰ってしまったら、衣類は乾燥機で30分以上熱処理したり、ビニール袋に持ち物を入れてトコジラミ用の殺虫剤を散布して下さい。危険な虫刺されとして注意が必要なのが、“アナフィラキシー”を引き起こす蜂やムカデです。これらに刺されたら、まずは安全な場所に移動し、安静にして刺された部位を冷やし、可能ならばポイズンリムーバーで毒を吸出しましょう。局所の炎症症状にはステロイドの外用薬を散布し、炎症症状が強い場合にはステロイドの全身投与を行ないます。じんましん、吐き気(嘔吐)、呼吸困難などが出現した場合は、速やかに救急病院を受診しましょう。被害の予防のためにも、外野での作業時は、蜂の巣に注意し、むやみに巣に近づいたり刺激しないようにしましょう。マダニやツツガムシの場合は、病原体を媒介するので要注意です。山などで過ごした日数から数週間後に発疹や発熱が認められれば、すぐに医療機関を受診してください。毛虫(ドクガ類)も暖かくなると被害の多い皮膚炎です。ドクガの幼虫である毛虫には、数十万本以上の微細な毒針毛があり、幼虫の脱皮殻や成虫の尾端部にも付着しています。この毒針毛が人の皮膚に触れ、中の毒成分が皮膚に注入されると、アレルギー反応により、特微的な赤く隆起した皮疹を多数作ります。治療の基本は、ステロイド薬の外用ですが、炎症反応が強い場合は、ステロイド薬の内服を併用する場合があります。対策としては、庭木の手入れの際に被害を受ける事が多いので、ツバキやサザンカに見られる毛虫には注意が必要でしよう。冬でも幼虫の脱皮殻に触れると皮膚炎を生じます。毒針毛に触れてしまったら、粘着テープで皮膚に付着した毒針毛を除去し、石鹸で洗い流しましょう。
植物ではウルシやハゼ、マンゴー、ギンナン、サクラソウ、アロエ、キクなどに触れた後に、湿疹が出現した場合も、ステロイド剤の適用などで、医療機関の受診が必要です。
これからの季節、野外での活動、旅行にはご注意を!


<ニキビができたら>

暖冬かと思い日々生活をしていたら、いきなりの爆弾低気圧で、“ビックリポン”ですが、みなさんの皮膚の状態はいかがでしょうか?今回は、ニキビ(尋常性座瘡)についてのお話です。

1.ニキビの症状

  1. 面皰(コメド)毛穴に古い角質がつまり角栓ができ、毛穴が閉塞した所に、ホルモンバランスの影響で皮脂の分泌量が増加などし、その皮脂が毛穴にたまって『面皰(コメド)』が形成されます。
    皮脂を好み酸素を嫌うアクネ菌にとっては、増殖するのに好都合の場所です。
  2. 紅色丘疹・膿疱・毛穴の中で増殖したアクネ菌は、炎症を起こす物質を作ります。そして、炎症が起こると、ニキビは赤く丘状に盛り上がって『紅色丘疹』となります。更に時間が経つと、膿がたまり『膿疱』に移行します。
  3. 硬結・嚢腫・膿疱を放置していると、炎症が拡大し毛穴が破壊されて、皮下に膿の袋、いわゆる『嚢腫』に、さらに硬く盛り上がる『硬結』になります。

2.ニキビの原因

上記したように、ニキビは毛穴に皮脂がたまってできます。思春期ニキビは、性ホルモンの働きが活発になり、皮脂分泌の亢進によりできますが、20代からの大人のニキビは以下のような原因が考えられます。

  • 皮膚のバリア機能の低下
  • 間違ったスキンケア
  • 不規則な生活
  • 月経前やストレスなどのホルモンバランスのみだれ
  • 便秘...etc

3.ニキビの治療

ニキビができたらどうしたらいいか?症状に応じて適切な治療がありますので、自己判断による処置はせず、我々皮膚科医の指示に従いましょう。
ただし、治療の効果が出るまでの期間は、個人差があります。

  1. 急性期の治療
    • 面皰が主体の時は、毛穴の閉塞を改善する薬剤が用いられます。
      <治療薬剤>
      アダパレン(外用薬)
      過酸化ベンゾイル(外用薬)
    • 紅色丘疹や膿疱が主体の時は、毛穴の中で増殖したアクネ菌が炎症を起こしているので、アクネ菌の増殖を抑える薬剤や、炎症を抑える薬剤が用いられます。
      <治療薬剤>
      アダパイン(外用薬)
      過酸化ベンゾイル(外用薬)
      抗菌剤(外用薬や適宜内服薬)
  2. 寛解維持期
    • 目に見えない微小面皰や面皰を抑えることで、紅色丘疹の移行するのを抑えます。
      <治療薬剤>
      アダパレン(外用薬)
      過酸化ベンゾイル(外用薬)
      ※アダパレンや過酸化ベンゾイルは、刺激感や乾燥等を訴える方が時々みられますので、徐々に外用範囲を広げると良いでしょう。

4.生活上の注意点

洗顔は余分な皮脂を除去し、皮膚を清潔に保つのに必要であります。我々は1日2回の洗顔料を用いた洗顔を推奨しております。基礎化粧品はノンコメドジェニックまたはハイポコメドジェニックと記載された面皰形成試験を行なっているものが望ましいでしょう。メイクアップのポイントとして、毛穴を塞がないように厚化粧を避けて、ニキビから視線をそらす目的で、リップメイクを強調しましよう。食事については、特別な食事制限がニキビを改善したり、悪化させたりという根拠はありません。ピーナッツやチョコレートなど特定の食べ物でニキビが悪化した経験があるなら避けた方が良いかもしれませんが、常にこれらを避ける必要もないと思います。
1日3回バランスの良い食事を心がけ、間食を極力避けていきましょう。
その他、ニキビをよく触る人がいますが、炎症を拡大させるばかりでなく、面皰形成の誘因なることから、ニキビを不用意に触らないようにしましょう。また、ストレスや睡眠不足を、悪化因子に上げる患者さんは多いと思います。ですから、十分な睡眠をとり、ストレスや疲れをためないよう、趣味や適度な運動、自分なりのリラック法でストレスの少ない生活を送りましょう。


<子供のスキンケア>

冬将軍到来で、ぼちぼちと寒い日が多くなって参りましたが、みなさまの皮膚の状態はいかがでしょうか?今回は、季節的に増加している質問であります、乳幼児のスキンケアについてのお話です。

1.乳幼児の皮膚の特徴
乳幼児の皮膚は、新生児期をのぞいて、角質の水分量や皮脂の分泌量は成人より少ないと言われております。また、皮膚が薄く、バリア機能が未熟なため、外からの細菌や異物を容易に侵入させてしまいます。
他に汗腺の密度が高いので、汗をかきやすいとも言えます。

2.乳幼児に見られる皮膚疾患

  1. あせも 汗をかきすぎたりすると、汗腺のつまりを起こし、赤い小さな皮疹が出てきます。冬でも、暖房や服の着させすぎなどで起こります。
  2. 乳児湿疹 赤ちゃんの皮膚は未熟な部分が多いので、ちょっとした環境の変化で炎症が起こりやすいのです。
  3. おむつかぶれ 排尿や排便後しばらく処置をせずにいると、炎症が出現してきます。また、おむつとの摩擦も炎症の原因になります。
  4. 乳児寄生菌性紅班 上記と似た症状に、便中のカンジタ菌という真菌に感染して起こります。
  5. アトピー性皮膚炎 体質的に皮膚のバリア異常のために、異物(アレルゲン)の浸入や機械的刺激により、皮膚に炎症が起こる状態です。この状態が長く続くことがアトピー性皮膚炎の診断基準となります。
3. 乳幼児のスキンケア
皮膚のトラブルを防ぐには、スキンケアが重要です。
基本は、“洗浄”、“保湿”、“紫外線対策”、の三つが基本です。
  1. 体・顔の洗い方
    石鹸は弱酸性低刺激のものをよく泡立てて、素手を使い、手のひらと指の腹できちんと洗う。外遊び等で手足を汚した時は、肌触りのよい素材のタオルを使って洗う。ゴシゴシこすらずやさしくが基本です。
    首や脇の下などのしわの部分は、奥までていねいに洗う。
    顔も石鹸を使います。よく泡立てれば目にも入りにくいです。すすぎは、ていねいに何度かおこない、すすぎが終わったら、乾いたタオルでこすらずそっと押さえるように水分をふき取る。しわの中の水分は残りやすいので気をつけましょう。石鹸が残ると皮膚を刺激するもとになります。
  2. 保湿剤で皮膚にうるおいを
    入浴後はなるべく早く保湿剤を塗布しましょう。やさしく話しかけながらマッサージするようにやさしく塗り広げます。塗る順番は、顔→お腹→背中→手足がよいでしょう。
    保湿剤は、人差し指の指先から第一関節まで(液体ものは1円玉大)の量で大人の手のひら2枚分の面積に塗れる量と言われております。
  3. 紫外線対策 紫外線は冬でも降り注いでいます。3月頃から増え始め6〜7月が最も強くなります。時間帯としては、午前10時〜午後2時頃までに1日の半分以上の紫外線が降り注ぐと言われております。 紫外線対策の基本は、帽子をかぶせ、日陰を選んで遊ばせ、日焼け止めをしっかり塗ることかと思います。
    日焼け止めの塗り方としては、清潔な皮膚に、子供用の日焼け止めをムラなく(日焼けしやすい額、鼻、首の後ろは念入りに)塗ってください。塗る量の目安としては、顔の場合は、クリームならパール粒1個分、ローションなら1円玉1個分の量を顔に5ヶ所に置いて伸ばします。 手・足など広く塗る場合は、つける場所に直接的につけ、手のひらを使って大きく円を描くように伸ばしましょう。
これらのことが全てでは在りませんが、上記のことを参考にお子さんのスキンケアをおこなってみてください。それでも、皮膚トラブルがある場合は、早めの受診でよい状態に戻しましよう!


<病名解説>

すっかり秋になり、朝夕の冷え込みがでてまいりました。そうなると皮膚科の待ち合いも、さみしくなってまいります。忙しかった夏は、ついつい患者さんに専門用語で病気の説明をしてしまい、その節は、大変申し訳ございませんでした。今回は、それに関連して皮膚科の病名由来などについて書こうかと思います。

● アトピー:アトピーと言う言葉は、広く知られた言葉で、皮膚科ではアトピー性皮膚炎がホピュラーであります。語源は、ギリシャ語のatopia(異常な)から来ております。
これはa(否定)とtopos(場所)の組み合わせで、本来の場所にない、つまり、“異常”なとか“不思議”なという意味から派生した言葉です。ですから、アトピー性皮膚炎は、つかみ所のない(症状に個人差のある)、治療に苦労する奇妙な病気と言う意味でしょうか?

● 肝斑:日本語では“かんぱん”と言うより“しみ”と言ったほうがわかりやすいでしょう。30歳〜40歳の女性の顔面に左右対称に生じる、褐色斑です。独語ではLeberfieck,肝臓の色に似ているからだそうです。日本語は、これを、ダイレクトに訳したのでしょう。

● アフタ:口内などの粘膜円形で扁豆大までの境界鮮明な炎症面で、周囲が赤くなり、表面に白色ないし黄色の偽膜を付着するものであります。原因として機械的刺激(入れ歯等)、ウイルス性やベーチェット病などさまざまです。再発しやすいのが特徴です。

語源は、ギリシア語のaphthai(炎症、潰瘍)からきているようです。これは症状であって、疾患ではないですが繰り返し発症していると、カルテ等には、“再発生アフダ”または“アフタ性口内炎”と書いております。

● 鶏眼:一般的に“ウオノメ”(魚の目)と呼ばれています。これは独語のHohneraugeの直訳です。足趾間などに生じる圧痛のある角化塊で、中心が隆起しております。この部分は、円錐状に真皮深層に刺入しており、最初は圧迫による不愉快感があり、その後次第に歩行時に激痛が出現します。原因は、足への持続性圧迫による変形、摩擦が考えられます。治療は、軟化および除去です。

● 胼胝:上記の“ウオノメ”の類似疾患で、“たこ”とよばれております。これは、英語でも独語でもtylosis,、「結び目、こぶ等」を意味するtyloに由来しているようです。好発部位は、手掌、指腹、足底など常に圧迫される場所に、防御機転として起こる角質の増殖です。この増殖した角質は刺入はしないので、鶏眼よりは痛みは少ないかと思います。治療は、軟化および除去、その後は、原因を避ける生活であります。

● 白癬菌(症):通称タムシ、水虫の原因菌、真菌(カビ)の一種で、人に感染する糸状菌は10数種が知られておりますが、中でもTricophyton rubrunとTricophyton mentagrophytesとで8割を占めております。いずれもケラチン(各層の主成分の蛋白)分解能を有することで、硬い爪や角質への寄生が可能となっています。
感染する部位や深さなどで、浅在性真菌症と深在性真菌症に分類されます。近年強力な抗真菌剤の出現で治療期間は短縮していますが、糖尿病などの基礎疾患があると難治であり、壊疽の原因になります。

● しらくも:頭部白癬tinea capitisの俗称で浅在性白癬で頭部に生じたものを指します。
わが国では古くから小児頭瘡を、『しらくも』と俗称していたようですが、「明治30年頃から頭部断髪性疱疹ないし寄生性匐行疹という病名が使われるようになると、これらは『しらくも』とは別であると考えられていたようです。しかし明治37年に両者を統合して頭部白癬と称するようになりました。
その後、日本では頭部白癬という病名一つを使うようになりました。
アメリカでもtimea capitisとして一つにまとめましたが、これは頭部浅在性白癬とケルスス禿頭(深在性)をあわせた概念であり、わが国の頭部白癬が浅在性のみでケルスス禿頭は含まないところは異なるようです。
現在の治療は抗真菌剤内服でありますが、それ以前は抜毛による治療が主流のようです。
書き出したらきりがないので、今回はこの辺で終わりとさせて頂きます。


<たかが蚊、されど蚊!?>

いよいよ梅雨も明け、夏本番(子供達にとってはうれしい夏休み!)となりました。
今回は、昨年ニュースになりました、デング熱について話をしたいと思います。
デング熱(dengue fever)は、熱帯・亜熱帯とくに東南アジアの流行病言われていましたが、昨年、東京の代々木公園を中心に69年ぶりに国内での感染例が報告されました。その後、皆さんご承知の様に、全国各地で発症が確認され、社会問題に発展いたしました。
デング熱とは、教科書的にはネッタイシマカ(日本ではヒトスジシマカ)にさされて2〜15日で突然の発熱と共に全身の倦怠感、関節の痛みとリンパ節の腫脹、胃腸障害、目の奥が痛くなったり、まぶしさを感じたりします。
発疹に関しては、発症初期は、びまん性に赤くなったり・小丘疹(皮膚表面より限局性に類隆起)が見られることもあり、後半には、麻疹(はしか)様や溶連菌感染時に見られる皮疹を呈することもあるようです。ですから、医師の間でも、麻疹や溶連菌感染症との区別に難渋いたします。これらの皮疹は、デングウイルスによるアレルギー反応と考えられています。
デングウイルスには4つの血清型(1型・2型・3型・4型)があります。昨年代々木公園などで確認されたのは1型のようです。これは、アジアで流行しているものと同じでした。小児では発熱に加え、出血傾向や肝障害を合併するデング出血熱と呼ばれる状態になることもあります。このデング出血熱の重症化は、2度目の感染が異なる血清型であったり、あるいはデング熱に対する免疫を持った母体から、出生した乳児の初感染の場合などで起こりやすいと報告されています。つまり、その感染したウイルスの血清型に対しては終生免疫を獲得しますが、他の血清型ではデング熱を発症します。
現時点で、デング熱に対して得意的な治療法はありません。個々の症状に対して対症療法を行なうのみです。解熱剤を使う場合、アスピリンを服用すると、デング熱の重症化に拍車をかけることになりますので、自己判断で解熱剤を内服せず、医療機関を受診のうえ、医師の処方したアセトアミノフエンを内服しましょう。アセトアミノフエンは副作用の誘導が少ないとされています。ワクチンは、年内の実用化をめざしているようです。
予防法ですが、我々のできることは、蚊に刺されないようにするしかないようです。野外で作業をすると木などは、肌を露出しない長袖のシャツや長ズボンの着用、虫よけスプレーや蚊取り線香などを使うことを心がけましょう。
また、蚊は色の濃いものに近づくようです、白や薄い色の服は更に効果的と思われます。
以上の事をふまえて、他の害虫にも気をつけて、楽しい夏を過ごしましよう。


<汗とアトピー性皮膚炎の関係>

季節は夏に向かっており、徐々に汗ばむ季節となってまいりました。
今回は、その汗についてのお話です。
汗は、人間にとって大切な役割を担っています。

  1. 体温調整 体の熱を発散し、体温を下げます。
  2. 免疫調整 汗に含まれる物質が、細菌などから皮膚を守ります。
  3. 保湿 皮膚の水分量を保持し、うるおいを与えます。

人間が生きていく上で必要な汗ですが、以前は、アトピー性皮膚炎(以下AD)を悪化させる原因の一つと考えられてきました。ところが最近の新たな研究で、汗を十分にかけていない事が、ADを悪化させている原因の一つと言われています。
どういう事かといいますと、AD患者さんでは、発汗量が少なく、発汗するまでに時間がかかるといった特徴が見られるようです。またAD患者さんが発汗により痒みが起こるという不安から、自然と汗をかく機会を減らす、つまり、発汗量が少ない原因にもなっていると考えます。
このように、AD患者さんでは発汗量が少ないので、“汗“本来の働きが十分に発揮されることがないので、AD症状の悪化が起こると考えます。
つまり、汗をかくことで、皮膚にうるおいがもどり、汗に含まれる物質で皮膚を細胞から守り、皮膚の温度を下げ、皮膚の炎症の悪化を予防するのです。ただ汗をかいた時に、かゆみを感じるのも事実です。
では、いかに汗と上手に付き合うかですが、汗をかいたら、おしぼりで拭き取るか、シャワーや流水で洗い流すことを心がけましょう。
どうしても洗い流す事ができない状況なら、汗で濡れた衣装は、着替えるなどの対策をしましょう。汗を洗い流した後は、保湿剤の外用は忘れないようにしましょう。
特に、AD患者さんでは、汗を洗い流して終わるのではなく、医師から処方された、ステロイド外用薬、保湿剤の外用はしっかり行いましょう。
汗をかくためには、毎日40℃程度のお風呂に入るように、この温度は、皮膚のバリア機能を回復させると言われています。石鹸を使う時は、よく泡だて、過度に擦らず、十分に洗い流しましょう。
また、運動は激しいものを急に行うのではなく、軽いものからはじめ、休息をとり水分補給をしっかりして、熱中症には注意しましょう。

《まとめ》
以前は、アトピー性皮膚炎にとって、汗は、悪いものという印象がありました。しかし、汗の働きを考えると、人の生活において必要なものであります。アトピー性皮膚炎患者においては、治療をしっかりと行い、そのうえで、汗をかける日常生活をおくりましょう。
アトピー性皮膚炎の治療等でわからない事がある時は、われわれ皮膚科医に相談して下さい。


<皮膚からもアレルギー!?>

季節ははるになり、お花見のシーズンになっていますが、同時にアレルギーの季節になったと言っても過言ではないでしょう。花粉症持ちの人には辛い季節です。
花粉症と言えば、鼻におこるアレルギー性鼻炎を思い浮かべる人が多いかと思いますが、他の症状として、目のかゆみ、喉のイガイガした感じや皮膚の露出した所のかゆみ(顔のかゆみ)などがあります。これらの原因(アレルゲン)として有名なのがスギ花粉です。しかし、実際のところスギ以外の多くの花粉やダニ、カビ、ペットなどのアレルゲンでもこれらの症状は起こっている可能性があります。もしかしたら症状を放置することで、季節に関係ない通年性アレルギーに移行している可能性があるかと思います。もし、花粉症かと思われる症状が出てきたら、なるべく早く病院を受診することをお勧めします。
ではどうしてアレルギー反応が起こるのでしょう。最近の皮膚の研究では、口や鼻からのアレルゲンの浸入だけでなく、皮膚もアレルギー発症のルートであることがわかってきました。皮膚は、単に異物から体を守る組織というイメージがありますが、アレルゲンが皮膚を介して体内に侵入し、アレルギー反応を引き起こすことがあるのです。これを、経皮感作といいます。
例えば、海外などでは、ピーナッツオイル入りのの保湿クリームを使用した子供や、家庭内に落ちているピーナッツのかけらなどが原因で、ピーナッツを食したことがない子供にピーナッツアレルギーが発症したという報告があります。日本では、小麦粉成分を含んだ洗顔石鹸を使用した人達に、突然小麦アレルギーがおこってしまう事件がありました。これも経皮感作によるものと考えられております。
では、なぜ経皮感作がおこるのでしょう?皮膚の最外層には、外質層があり、皮膚膜とともに色々な外敵から、身を守るバリアとして働いています。しかし、湿疹などの皮膚に異常が起こると、バリア機能がおかしくなり、外からの刺激に対して非常に過敏なってしまいます。つまり、様々なアレルギー物質が体内に侵入しやすくなるということです。このような事が、日々積み重なり経皮感作が起こると考えられています。
近年我々医師の間では、アレルギーマーチという言葉が使われております。これは、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎や喘息といった異なる症状が成長にともなって出現する状態です。この原因として、上記の皮膚のバリア機能障害が注目されております。経皮感作を起こさない為には、以下のことに注意しましょう。

  1. 皮膚のバリア機能を保持する為に・・・
    • 石鹸の使い過ぎに注意しましょう。
    • ナイロンタオルで強く擦るのはやめましょう。
    • 乾燥肌の人は、入浴後に保湿剤を塗りましょう。
    • 布団、ソフアー、クッション、むいぐるみなどに付着しているアレルギー物質などは、マメに掃除をしましょう。

  2. 乳児期に気おつけることとしては・・・
    子供は、大人よりも保湿能力が低いので、外部の刺激に対して非常に敏感です。よだれや食べ物が、口の周りについたまま放置すると、そこから経皮感作が起こる可能性があるので、乳幼児の口の周りは、きれいにすることが大切です。

<乾癬(かんせん)について>

冬将軍到来で、毎日寒い日々がつづいておりますが、みなさまは風邪などひかれていないでしょうか?今回は、乾癬(かんせん)について勉強したいと思います。
乾癬とは、「皮膚の炎症」と「表皮の角化異常」の2つの病態があります。つまり、皮膚が赤く盛り上がり、その表面に銀白色のかさぶた(鱗屑)が厚く付着して、やがてそれがフケのようにポロポロと剥がれ落ちる(落屑)という状態です。かゆみに関しては、個人差があり、ほとんどない人もいれば、かなりのかゆみを訴える方もおられます。病気を放置してしまうと、皮疹が拡散融合して大きくなってしまいます。また、爪の変形が起こることもしばしば見られます。 乾癬患者さんの皮膚の正常部分を、掻いたり傷つけたりすると、その部分に乾癬が出現することがあります。これを皮膚科の専門用語で「ケブネル現象」と言います。 乾癬は、その症状の違いから5つの種類があると言われています。

  1. 尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん):もっとも多く見られるタイプで、上記の病状が頭、肘、膝を中心に全身に散見されます。
  2. 膿胞性乾癬(のうほうせいかんせん):全身の皮膚が赤くなり、その中に「うみ(膿疱)」を持った皮疹が出現し、発熱や倦怠感を合併します。放置すると全身のむくみが現れ、入院での治療が必要になってしまいます。
  3. 関節症性乾癬((かんせつしょうせいかんせい):皮膚症状に加え、関節リュウマチのように関節が腫れたり、痛んだりします。重症化すると、関節な変形がおこり、日常生活に支障が出てきます。
  4. 滴状乾癬(てきじょうかんせん):風邪などにより扁桃腺炎をおこして、それが悪化した時に、全身に水滴様の皮疹が全身に出現します。
  5. 乾癬性紅皮症(かんせんせいこうひしょう):尋常性乾癬のコントロール不良により、全身のほとんどが赤くなる状態です。皮膚の機能障害により体温調節ができなくなり、発熱や倦怠憾を生じます。症状によっては、入院となることもあります。

乾癬の原因は、まだよくわかっていないのが現状です。遺伝的要因にストレス、風邪、喫煙、飲酒、食生活などの外的要因、それに高脂血症、肥満などの内的要因が加わって発病すると考えられています。また、最近の研究で、上記の問題だけでなく、免疫系にも異常が生じて炎症がおきているのがわかってきました。つまり、本来なら細菌やウイルスに対する防御システムが、何らかの要因で正しく機能しなくなり、自分の細胞を攻撃し、炎症を引き起こすようになったと思われます。
乾癬の治療法には大きく分けて、4つの方法があります。外用療法、内服療法、光線療法、生物学的製剤です。(クリニックレベルでの治療としては、外用療法内服療法がメインになってくると思います。) 外用療法は乾癬治療の基本と考えます。主にビタミンD3外用薬、ステロイド外用薬を用います。
ビタミンD3外用薬:表皮の新陳代謝の異常を抑え、正常な皮膚に導く薬です。効果がでるまでに時間がかかるため、根気よく外用を続けることが大切です。ステロイド外用薬:炎症(皮膚の赤み)を起こす細胞の働きを抑える薬です。速効性があり、病状に応じて薬の強さを使い分けていきます。ただし、医師の指示に従わず使用していると、塗布部位の毛細血管拡張や、皮膚が薄くなったりすることがあります。

※昨年の秋により日本でも、ビタミンD3外用薬とステロイド外用剤の合剤が処方可能となりました。当クリニックでも、たくさんの乾癬患者さんに処方したところ、かなりの効果を実感しております。
内服薬は、外用薬のみではコントロールが難しい時に、用いることが多いですが、単独で用いることもあります。
レチノイド(エトレチナート):ビタミンA誘導体で、皮膚の過剰な増殖を抑える効果があります。妊娠中の胎児に影響をあたえるので、服用中はもちろん服用中止も、男性は6ヶ月、女性は2年の妊娠をしてもらいます。
シクロスポリン:乾癬の悪化因子の一つである、過剰な免疫反応に作用致します。副作用として、血圧上昇、多毛、腎機能障害等がありますので、定期的な血圧測定、血液検査が必要です。
光線(紫外線)療法は、光源ライトを用いて、症状のあるところを中心に紫外線を照射して過剰な免疫反応を抑える治療です。紫外線にはいくつかの種類があり、乾癬の治療では長波長紫外線(UVA)と中波長紫外線(UVB)が用いられます。まれに日焼け色素沈着があります。
生物学的製剤は、大学病院や市民病院などの大きな施設で受ける治療と言えるでしょう。免疫に関わる物質の働きを弱め、乾癬の症状を抑える薬です。現在、皮下注射と点滴の2種類があります。これまでの治療で効果の得られない患者さんが対象になります。下記の患者さんには、投与ができないことがあります。

  • 重い感染症のある方
  • 結核や肝炎で治療している方
  • 過去に生物学的製剤の成分でアレルギーを起こしている方
この治療を行うと免疫が抑えられるため、感染症にかかりやすくなります、主な副作用として、喉の痛みや咳、発熱などの風邪症状、発疹や体のかゆみなどのアレルギー様症状、体のだるさです。
乾癬は増悪軽快を繰り返す疾患です。他人に感染する心配は全くありませんが、日常生活に支障をきたすことがあります。それだけに、乾癬治療の目標は、患者さん一人ひとりの症状や、ライフスタイルの合ったと療法を選択することが重要と考えます。

<睫毛貧毛症の治療が始まりました>

睫毛貧毛症
− グラッシュビスタ外用薬剤 −
2014年9月に睫毛貧毛症(しょうもうひんもうしょう)の治療薬であるグラッシュビスタ外用薬剤が販売になりました。
この薬は、上まつ毛の長さ、太さ、濃さを改善するお薬です(毛包の存在しない場合、効果はほとんどありません)。睫毛貧毛症とは、“まつ毛が不十分である又は物足りない”ことを特徴とする疾患です。その原因は、加齢などによる特発性や薬剤誘発性の脱毛症などが考えられます。

日本におけるグラッシュビスタ外用液剤の臨床試験では、特発生睫毛貧毛症および化学療法等における睫毛貧毛症の成人患者に、グラッシュビスタを4ヶ月間使用したところ、それぞれの患者において、評価スケルーで1段階以上の改善が77.3%、および88.9%の割合で認められました。 グラッシュビスタ外用液の有効成分はビマトプロストで、1ml中に0.3mgが含有されているトータル5ml(70日分)の無色透明の液体です。

使い方は、化粧を落として片目ごとに、1日に1回夜に1滴を、添付されている専用ブラシ(140本添付)に滴下して上まつ毛の生え際に塗布します。その時、使用したブラシは破棄し、片目ごとに新しいブラシを使用して下さい。 使用中の注意点としては、塗布時、薬液が上まつ毛以外についた場合は、ティッシュなど吸収性のよい素材で、すぐに拭き取り、洗い流して下さい。 コンタクトレンズを使用している方は、コンタクトレンズを外してから塗布し、15分以上経過してからレンズを装着して下さい。
また、1日に2回以上及び1回に2滴以上塗布したりしてはいけません。(頻繁に塗布しても効果は同じです。)また、妊婦やその可能性がある人、授乳中の人は使用を避けて下さい。 副作用は、メラニン増加によるまぶたの黒ずみ、目の周りが多毛になったりする場合もあります。 これらは、使用中止により元に戻る可能性があります。これらの副作用を防ぐためにも、塗布後は目の周りについた薬をよく拭くか洗顔をするようにして下さい。

他に大きな副作用として、黒目の部分が濃くなる紅彩色素過剰、まぶたがくぼむ眼瞼溝深化があります。このむ眼瞼溝深化に関しては、日本人を対象とした臨床試験では、今のところ報告はないようです。このような症状が出現した場合、ただちに医師または薬剤師に相談してください。 詳しくは、等クリニック窓口または診察室でお訪ねください。



<掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)>

朝夕が涼しくなり、昼間との気温差がでてまいりました。こういう季節の変わり目はアトピー性疾患等の症状が出やすいので、アレルギー体質に方は、なるべく早くお医者さんで抗アレルギー剤を処方してもらいましょう。 さて、今回は掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)について書かせて頂きます。 掌蹠膿疱症の掌(しょう)は手のひら、蹠(せき)は足の裏をさしています。その手のひらや足の裏に、左右対称に膿疱(うみ)が出現する40歳〜50歳代に発症のピークのある皮膚の病気です(写真参照)。

掌蹠膿疱症1 掌蹠膿疱症2

症状 : 大きさ1〜5mm程度の小水疱や膿疱ができ、その周囲に赤い炎症反応がみられます。膿疱の中には菌は存在せず、また小水疱には水虫の菌はいません。 これらは、やがてかさぶたになり、脱落していきますが、しばらくすると、また透明な水疱や黄色の小膿疱の出現を繰り返します。かゆみは感じる場合もありますが、多くの人はないようです。また、わずかではありますが、つめ水虫に似た爪の変形が見られます。
また、皮膚以外に、鎖骨を中心に骨や関節が痛くなる患者さんもおられます。

好発部位 : 手のひらは、その中央部、母指球、小指球、足は足踏まず、かかと、足の縁などがあります。まれではありますが、膝にみられることがあります。

病気の原因 : 扁桃炎、虫歯、副鼻腔炎、中耳炎など慢性的感染症(病巣感染)や歯科金属などの金属アレルギーが原因ではないかと言われております。最近患者さんの多くが喫煙者であることから、喫煙との関連が注目されています。

治療方法 : 治療でまず試みるのは、外用薬や内服薬での治療です。主に中心となるのは、外用療法です。外用薬としては、炎症を抑えるステロイド外用薬、皮膚が形成される過程の異常を正常にしたり、膿疱の出現を抑えるビタミンD3外用薬、硬くなった皮膚をやわらかくするためのサルチル酸ワセリンなどを使います。
病状が強い人には、内服治療をおこないます。特に外用ステロイド剤に反応の悪い人は、少量のステロイドの内服を行う場合もあります。その他、病巣感染を治すために抗生剤の内服、皮膚の形成異常を改善するためのビタミンA誘導体の内服、かゆみのある人は抗アレルギー薬を内服いたします。その他、効果のある治療としては、紫外線による治療があります。光に対する感受性を高める外用薬を塗布後、長波長紫外線UVAを照射したり、特定領域UVAを狭い範囲に照射するエキシマライトなどがあります。慢性的な扁桃炎をお持ちの患者さんは、扁桃腺を摘出することで、症状が改善することがみられます。虫歯にも同様のことが言えるかと思います。
歯科金属アレルギーにより、掌蹠膿疱症が出現している患者さんは、歯科金属を除去(アレルギーの起こらないものに交換)する方法もあります。

最近のトピックスとして、掌蹠膿疱症と喫煙の関係があります。掌蹠膿疱症の患者さんは喫煙者が多いようです。何人かの患者さんは禁煙することで、症状が軽快しております。健康のためにも禁煙することをおすすめします。



<帯状疱疹後神経痛とは?>

毎日暑い日がつづいておりますが、皆さん体調はいかがでしょうか?猛暑がつづくと、体が疲れやすくなるものです。その結果、免疫力が落ち、夏風邪などをひいてしまいます。我々皮膚科の外来には、帯状疱疹の患者さんが気のせいか多い気がします。今回は、その帯状疱疹、特に帯状疱疹後に起こる神経痛について少しお話いたします。

  1. 帯状疱疹は、幼少期などにかかった水ぼうそうのウイルスが背骨の神経の中に何年も潜んでおり、ストレスなどで体が疲れ、免疫力が低下した時に発症します。帯状疱疹の症状としては、痛みと小さな水ぶくれが出現します。この症状は、抗ウイルス剤の内服で治りますが、ご高齢の方などは、皮膚の症状が消えた後も傷みが残る場合があります。これを帯状疱疹後神経痛といいます。
  2. なぜ痛みがあるのでしょう?この痛みは、皮膚症状が出現する前に現れることが多く、ウイルスが神経を傷つけるために起こるのです。ピリピリとした痛みで、服がすれただけでもかなりの痛みを感じます。しかし、若い人などは、夜間はよく寝れたり、何かに集中しているときは痛みを感じないことが多いようです。
  3. 帯状疱疹は抗ウイルス剤という決まった治療法がありますが、帯状疱疹後神経痛に関しては決まった治療法はありません。
    それぞれの患者さんに合った治療法が選ばれ、組み合わされているのが現状です。また、治療を一回、二回受けたからすぐに軽快することはまれであるため、前向きに考え、根気よく治療を続けることが必要であります。
    治療内容ですが、内服治療薬は三環系抗うつ薬、抗てんかん薬(ガバペチン)や抗けいれん薬(ペレガバリン)があります。現在、非ステロイド抗炎症剤(NSAIDS)は効果がないと考えられております。 持続性の痛み対策として、体性神経ブロック、イオントフォレーシス、低出力レーザー治療が行われております。(当クリニックでは施行不可能なので大学病院等に紹介しております。
  4. 家庭における対処法として、
    入浴:体が温まり血液循環がよくなるので痛みがやわらぎます。他の病気で入浴制限がなければ、積極的に入浴することをお勧めします。
    保温:寒さは痛みを増強させる為、冬には使い捨てカイロなどで保温し、夏には冷房の冷たい風は直接あたらないようにしましょう。
    患部刺激:痛みに過敏になっている時は、衣服などが触れただけでも痛みを感じることがあります。痛みを感じる患部に、サラシや包帯を巻いたりしてから、衣服をきるなど工夫するとよいでしょう。ストレス・疲労:痛みが気になり、不安になり、そのストレスから痛みが増強すると言うことがあります。
    痛み以外のことに気が向くように、趣味や仕事に熱中することは重要と考えます。くれぐれも、家にひとり閉じこもらないようにしましょう。
    夜は睡眠を十分にとつて、リラックスするように心がけましょう。 


<いぼについて>

春も終わりそろそろ梅雨かなと思ったところ、いきなり真夏日がつづいた今日この頃ですが、みなさまの皮膚のコンデションはいかがでしょうか?
さて今回は“いぼ”という皮膚病について書きたいと思います。 よく外来診察をしていますと患者さまから「いぼができました」という言葉をいただきますが、そもそも“いぼ”とはどういうものか?
“いぼ”とは、表面にできた突起物をさす俗語であります。われわれ医師の間では、疣贅(ゆうぜい)という言葉が使われます。ですがこの疣贅の中にも実は、たくさんの種類があるのであります。その多くはウイルス性のものが多く、診察で医師が“いぼ”というと、多くがこのウイルス感染によってできるウイルス性疣贅と考えてよいかと思います。


ウイルス性疣贅の種類

  1. 尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい):尋常性とは“ありあふれた”とか“ふつうの”とかの意味です。ですから、もっとも診察で多くみられる“いぼ”です。
  2. 扁平疣贅(へんぺいゆうぜい):皮膚からの盛り上がりがあまりない“いぼ”です。青年性扁平疣贅とも言います。原因としては、髭剃りなどによる小さな傷、状態の悪いアトピー性皮膚炎などが考えられます。
  3. 足低疣贅(そくていゆうぜい):尋常性疣贅の一種ですが、足底は角質が厚く、絶えずふみつけられるためか皮膚にめりこんでおり、治療は難治です。 よくこの”いぼ“と間違われるものに、ウオノメ(正式名鶏眼(けいがん)と言います)やタコ(正式名胼胝腫(ベンチ腫)と言います)がありますが、これらはウイルスとは関係なく、履物が合わないなど、皮膚の一定部位に摩擦や圧迫などの異常刺激の繰り返しで、出現いたします。
  4. 指状・糸状疣贅(しじょうゆうぜい);これも尋常性疣贅の仲間ですが、顔や頭にできた場合は、指をすぼめた手に見えるものが指状疣贅、更に細かいものを糸状疣贅と呼んでいます。

その他に、外陰部や肛門に生じるもので、尖圭(せんけい)コンジローマなる“いぼ”もあります。これは、性感染症の一種であります。 また、“いぼ”と呼ばれるものの中で紛らわしいものに、“みずいぼ”(正式名伝染性軟属腫(でんせんせいなんぞくしゅ)があります。これは、ウイルス感染でできるところは、ウイルス性疣贅と似ておりますが、伝染性軟属腫ウイルスという全く別のウイルスが原因です。形としては、てっぺんが少しへこみのある小さな盛り上がりです。表面がツルツルして水様の透明感のあることから“みずいぼ”と呼ばれています。 ウイルス性とは違うものですが、外来でよく高齢の患者さまより「この“いぼ”とって」と言われるものに、老人性疣贅、別名脂漏性角化症なるものもあります。中高年の頭や顔、背中や胸に多い良性腫瘍の一種です。

以上、述べましたように、“いぼ”とはわれわれ医師の間では、主にウイルス性のもを指しますが、世間一般で“いぼ”と言われるものの中にはそうでないものも含まれることが理解していただけたでしょうか? また、その治療が、液体窒素や電気焼灼などの外科的処置、サルチル酸外用薬や尿素軟膏による外用療法やヨクイニンの内服療法から、それぞれの患者さまに、適したもので治療を行っております。
気になる方は、くれぐれも素人判断せず、医師の診察を受けましょう。



<保湿剤の重要性について>

  アトピー性皮膚炎において、かゆみによるスクラッチ(掻破)行動を我慢することは、なかなか至難のワザであります。人はかゆみが起これば自然に掻破行動を起こします。それにより、皮膚のバリア機能は悪化し、アレルギー反応をおこすアレルゲンの浸入がおこります。これを繰り返すことで、皮膚において炎症をおこす細胞が誘導されて、皮膚炎の重症化・遷延化がおこります。これを、我々皮膚科医の間では“イッチ(かゆみ)スクラッチ(掻破)サイクル”と呼んでいます。この悪循環を断つことがアトピー性皮膚炎の治療おいて重要と考えております。また、アトピー性皮膚炎ではフィラグリン遺伝子の異常、角層間脂質であるセラミドの減少、および角層内アミノ酸などの天然保湿因子の低下があることが明らかとなり、皮膚の乾燥やかゆみの原因となることもわかってまいりました。この皮膚の乾燥、ドライスキンを治療しておくことが、アトピー性皮膚炎の増悪を予防するものと考えております。もちろん、ステロイド外用剤の塗布が、第一選択の位置にあることが前提であります。
ドライスキンの治療としては、頻回の保湿剤の外用があります。特に冬のこの時期は、アトピー体質のひとだけではなく、健常人にも必要かと思います。
保湿剤を外用する利点のひとつは、角層の水分量を増やして乾燥を防ぐことで、かゆみの増悪を防ぎます。もうひとつの利点は、外からのアレルゲンの浸入を抑制する可能性があります。
アトピー性皮膚炎では、汗をかくとかゆくなることがあります。自分の汗に対する過敏反応と考えられており、保湿剤の使用は、これらの汗による過敏反応を起こす物質の浸入を、防ぐ効果もあると思われます。
さらに実験で保湿剤の使用は、皮膚の乾燥によって増加する皮膚のヒスタミン量を減少させることも明らかになっております。
一方で、アトピー性皮膚炎を増悪させることが知られているストレスは、皮膚のバリア機能を低下させることがあるようです、アトピー性皮膚炎の治療を行っていく上で、保湿剤の外用も大切ですが、心身的にも健康であることを付け加えておきます。

*者さまから、外用剤の塗り方についてよく質問がありますので、
以下に図示しておきますので、ぜひ参考にしてください。




<巻き爪と陥入爪>

 爪のカーブが強くなりすぎてユビの肉を巻き込んでしまう状態を巻き爪と 言います。また爪のかどが周りの肉に食い込んで炎症を起こしている状態を陥入爪と呼びます。陥入爪を起こす人の大部分は程度の差はありますが巻き爪を持っています。陥入爪になると痛いので食い込んでいる爪のかどを切る人が多いのですが、これをすると一時的に痛みは取れますが爪が伸びてくると巻き爪がさらに進んでより重症の巻き爪になり、陥入爪を再発して、ひどくなると爪の周りの肉が盛り上がって出血するようになってしまいます。
 巻き爪は先の細い靴を長時間履くことが原因になることが多いのですが、そのほか深爪やゆび先の外傷も原因になります。爪は見た目に見える部分を爪甲、その下側を爪床、さらに爪の根本の皮膚に隠れている部分を爪母と呼びます。爪母は皮膚の一部で、そこが硬くなって爪となりのびてきますが、爪母の役目は皮膚を爪に変えることだけですから,先の細い靴を履いたりして爪母に外圧がかかると容易に変形した爪になって生えてきます。
 巻き爪の根本的治療としては、以前は爪母の変形している部分をフェノールという薬物で破壊したり、爪母を削って爪を細くする手術をしたりしていました。しかしこの方法だと爪の巾が細くなってしまい、痛みは取れますが外観が見苦しくなり人前に足が出しにくくなる難点がありました。
 新しい巻き爪の治療法として形状記憶合金を爪に装着して、巻き込んで生えてくる爪を平らになおしてやる方法が考え出されました。この方法はまだ健康保険では認められていませんがなかなか良い方法です。詳細は
http://www.tama-medical.com/
当院でもこの治療をおこなっています。

治療前 治療後

超弾性ワイヤー(マチワイヤ)を用いた巻き爪、陥入爪の治療

料金 初診料 3,000円
再治療 1,500円
ワイヤー1本 4,000円
処置料 1,000円
      
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